毒蝶を真似る(ベーツ型擬態)
日本でもカバマダラやジャコウアゲハは、幼虫時代に毒のある草(コウワタ、ウマノスズクサなど)を餌としているものがいます。
これらの蝶は成虫になっても体内に毒を蓄えており、これを食べた鳥は毒で苦しみ、2度とその蝶を口にしなくなります。その蝶に似せることによって、襲われる確率が少なくなるはずです。

毒を持っている方を「モデル」といい、真似手を「コピー」または「ミミック」と呼んでいます。まず下の写真で説明しましょう。
左側は毒蝶で「モデル」となります。右側がその「真似て」で「コピー」となり、毒蝶ではありません。
そして、ほとんどの真似手は、ただ姿や形が似ているだけでなく、別の科の蝶でありながら、飛び方などの行動までそっくりなんですよ。驚いてしまします。


さて「毒蝶」というといかにも怖そうに聞こえますが、もし人間が食べたらどうなるのでしょう。
何十匹も食べればわかりませんが、少しぐらいなら全く問題ありません。ご安心を!(食べる方はいないと思いますが)

モデル コピー
ベーツ型擬態
@ 毒を持つ、スジグロカバマダラ♂ 『モデル』

 B 真似て、メスアカムラサキ♀ 『コピー』
  Aカバマダラ ♀ 『モデル』        
    Cツマグロヒョウモン♀ 『コピー』 
上記の4種は相互的に@Aの「モデル」に対し、BCが真似ての「コピー」となります。@Aは互いに、毒蝶同士で真似あっているので「相互擬態と言います。(擬態の「真似し合う」を参照してください。


ジャコウアゲハ♂ 『モデル』


オナガアゲハ  『コピー』
下の写真は蛾のオジロツバメガに擬態している蝶です。
昆虫には、自分たちと全く違う昆虫や動物に擬態しているものが多くあります。

オジロツバメガ 『モデル』

ニセツバメアゲハ 『コピー』
ここで興味深いのは、子孫を残す雌だけが擬態しているものが多いと言うことです。
たとえば、雄も同じように真似をするとどうでしょう。偽物が多くなり、最初に毒蝶でない方を食べると「この蝶は美味しいんだ」と言うことになり、また狙われてしまいす。
モデルは多いほど効果が高く、真似ては少ないほど有効となることがわりますね。

上記の「真似て」側のメスアカムラサキとツマグロヒョウモンの雄です。写真のように雄の方はまったく似ていませんね

メスアカムラサキ♂

ツマグロヒョウモン♂
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