|
昔は、市内でもいたる所に湿地が点在していましたが、人間には不要のものらしく次々と埋められて行き、今では守山区など、数箇所を残すのみとなってしまいました。 平針学区(平針黒石)の南、島田黒石(現在の高島地区・黒澤台地区)でも、昭和50年代初までは、雑木林のすそに湿地が広がっており、湿地特有の植物や、昆虫が多く観察されました。 それが宅地化が進み、どんどん姿を消していき、現在わずかですが島田湿地として保全されています。 |
閑静な住宅地に囲まれた一角にこの島田湿地があります。入り口を入ると再生湿地が広がり、桟橋を渡って観察することができますが冬場と、土・日・祝日以外(平日)は入ることは出来ません。またその奥には保全地区があり、原則として一般には入ることは出来ず、特別な観察会などで入場出来ますが、申し込みが必要となります。 | |
![]() 島田湿地入門口 |
![]() 再生地区 |
湿地内を覗くと、湿地特有のミミカキグサ、サギソウ、モウセンゴケ、ミズギクの植物をはじめ、ハッチョウトンボ、オツネントンボなどの珍しい昆虫がたくさん観察することが出来ます。 |
|
![]() 保全地区の観察会の様子 |
![]() 桟橋の脇にはコバノミツバツツジが咲き誇る 5/4/20 |
![]() ノリウツギ |
![]() ガガブタ |
![]() サギソウ |
![]() ミミカキグサ |
シラタマホシグサ シラタマホシグサは、鉄分の多く含む酸性土壌を好み、世界でも東海地区の太平洋側にしか生息していない、とても貴重な植物です。 湿地の水を見ていただくと茶色っぽく見えませんか。これは汚れているのではなく、土壌に鉄分が多く含まれているため、バクテリアの影響でサビ色になるのです。 このような湿地では栄養分が流され土地がやせているため、モウセンゴケのような動物を栄養源とする、食虫植物が多く見られます。 愛知県ではこの様な土壌はどこでも見られるのですが、湿地そのものが失われていることもあって、今では極限られた地域でしか見ることが出来ません。 |
|
![]() 最盛期には一面真っ白になります |
![]() 白玉星草の花 |
ハッチョウトンボ 写真では大きさが分からないと思いますが、世界でも1番小さなトンボの1種で、体長が僅か18mmほどしかなく、このような湿地でしか生息できないトンボです。飛び方は、「ちょこまか」速い動きなのですが極限られた場所から離れることはありません。 |
![]() ハッチョウトンボ(成熟期)横に1円玉を置いてみました |
![]() ハッチョウトンボ 雌(成熟期) |
ホソミオツネントンボ 成虫で越冬する珍しいトンボで茶色っぽい目立たない色をしていますが、雄は春先になると瑠璃色の美しい姿に変身します。 天白区ではもうここでしか見られないと思います。 |
|
![]() ホソミオツネントンボ♂(春先) |
![]() ホソミオツネントンボ♂(越冬態) |
ヒメヒカゲ 愛知県下で、これらの湿地を利用するヒメヒカゲという貴重な蝶がいます。以前はこの島田湿地を含め、守山区、西加茂郡藤岡町などいたるところで生息していましたが、今では作手村など極1部の区域で確認されるのみとなってしまいました。 私が名古屋に来たころは島田湿地でもそこそこ見ることが出来ましたが、昭和52年を最後に見ることが出来なくなり、絶滅してしまいました。 |
|
![]() ヒメヒカゲ |
![]() ヒメヒカゲ(裏面) |