ツバメ

当地もマンションが立ち並び、自然が少なくなったとはいえ、近くに天白川や雑木林が残っており、毎年多くのツバメがやって来ます。今年も、当店の軒先に巣を作り始めました。

昔から「ツバメが巣を作ると縁起がいい」と人々に親しまれ、それに答えるかのようにきりっとした容姿に加え、人になつっこく愛らしい子育ての姿を楽しませてくれます。ツバメも人間のそばにいれば安全だということを知っているのかも知れません。


ご承知のようにツバメは渡り鳥の代表ともいえる夏鳥で、春ごろから日本に来て繁殖し、秋には暖かい南国へ戻って冬を越します。中には日本で越冬するものもいると聞きますが、この辺りでは不可能で
海岸や温泉地帯など特殊な環境でしか越冬できないと思われます。
                                                       2005年4月12日

ツバメの子育て
今年も3月の中旬ごろからツバメの姿をよく見かけるようになりました。はるか数千キロも離れた東南アジア(フィリピン・マレーシアなど)の方面から日本へ繁殖のために渡って来るのです。そして長旅の疲れを癒し、巣作りの場所を探します。
毎年、同じ近辺に帰ってくるようで、足輪などでも確認されています。どうして生まれ故郷が分かるのでしょう。すごい能力ですね。
4月になると、いたるところで巣作りが始まります。
わらと泥を唾液でかため、新たに造るもの、去年の巣を手直しして使うものそれぞれですが、マンションとコンクリートにかこまれた街中での巣作りは大変だと思います。
愛の巣が完成するといよいよ産卵です。普通は3個から6個ぐらいの卵を産み、つがいが交替で卵を温めます。この辺りでは4月から6月過ぎまでに子育てを2回繰り返します。
鳥の仲間はオシドリのように夫婦仲がよく、育児も交替で行うものが多く、われわれ人間も見習わなければいけませんね。
2週間ほどで雛がかえり、産毛で赤裸の赤ちゃんが誕生、お世辞にもかわいいとはいえませんが愛嬌たっぷりです。親鳥は餌を運んだり、雛の糞を巣の外に出したり大忙しです。

親が飛んでくる波動で、雛達は顔より大きな口を開けて餌をねだります。
ツバメは飛びながら餌をとるため、餌は飛んでいる昆虫ということになります。水も池や川の水面をすれすれに飛びながら飲みます。

2週間ほどたつと雛はキリットした容姿となり、親鳥に負けないほどの大きさになります。
さらに食欲旺盛となり、体をのりだして餌をねだります。

朝方、餌の運ぶ回数を数えてみると、つがいで2時間の間に124回も運んできました。こんな住宅地のどこから集めてくるのでしょう。朝方はハエや蚊などが主ですが、日中はトンボや甲虫が多くなります。
また、育ち具合にによって餌の大きさを選んでいるようです。

親鳥が雛に餌を与える様子
20日ほどたつと、時々巣を離れ、親鳥と近くの電線にとまり、飛行や餌捕りの練習を始めます。しばらくの間は巣の近くで過ごしますが、やがて人里を離れ水辺のある葦原(あしはら)などで過ごします。

2003年の平針・原のツバメ営巣調査

いったい当地区にどのくらいの巣が造られるのでしょうか。
2003年も配達員にお願いし、調査した結果90個あまりの営巣を確認しました。これがすべてではありませんが大体の様子はつかめると思います。

調査でビックリしたのが平針駅・原駅近辺など大きなマンションが密集している地帯に集中していることです。以前は民家の軒先が定番であったのが最近はずいぶん変わってきました。マンションの中抜け通路や入り口付近のスペースがツバメにとって好条件なのかもしれません。多いところでは一つのマンションで10個も作っているところがあります。