個体変異というと、季節型や地域型なども含まれるわけですが、ここでは個体差と異常型について見てみましょう。人間でも、同じ日本人で同じところに住んでいてもだれ一人として同じ顔がないように、蝶なども斑紋(翅の模様)や大きさなど個々に違いがあります。微妙な斑紋の違い程度の「個体差」から、外的因子、遺伝的、遺伝子の異常などによる「異常型」までさまざまです。
何処までが個体差で、何処からが異常型と呼ぶのかは、個人の見解で多少変わってきます。
個体差
斑紋

同じ蝶であって、同じ地域・同じ季節に羽化(蛹から蝶になること)しても、よく観察すると斑紋や大きさが個々に違います。


下の写真は、今万博で開発が進み絶滅に瀕する長久手産のギフチョウ♂です。同じように見えますが、よく見るとそれぞれ斑紋の違いがお分かりいただけると思います。

大きさ

大きさを比べてもこれだけの違いがあります。(すべて平針産です。)

モンシロチョウ

テングチョウ

ウラギンシジミ
ヒメアカタテハ

雌雄型
まれに右半分が雌で、左が雄という個体や、1部分だけに異性側の模様(モザイク型)が現れることがあります。

ツマグロヒョウモン(雌雄型)

モンキチョウ(モザイク型)

雑交型
自然界においても、まれにアゲハとクロアゲハというように異種間同士の雑種が生まれる場合があります。

不全型
外的な因子や、遺伝的または、遺伝子の異常などにより、翅の変形、色素の欠落・黒化、斑紋の乱れなど、いろいろな異常型が現れます。時には頭部だけが幼虫のままの姿で成虫(蝶)になることさえあります。


カバマダラ(正常個体)

  カバマダラ(色素が脱落した異常個体)

ベニシジミ正常個体

ベニシジミ羽化不全個体