渡りをする蝶「アサギマダラ」 「渡り」と言えば、ツバメやカモなどの野鳥を思い浮かべると思いますが蝶でも、新聞などで時々話題になるアサギマダラがいます。大きくとても美しい蝶で、荒池緑地などでもヒヨドリバナやフジバカマで吸蜜している姿をよく見かけます。 秋になると、全てではないのですが特定の場所に寄りつつ、栄養補給をしながら、春とは逆に南方へと旅立つのです。 しかし、渡りのルートなどまだまだ分からない事が多く、近年「アサギネット」などを通し、マーキング調査が盛んに行われています。これらの個体が南下途中の休息地や、九州・沖縄で再捕獲され、飛行ルートが少しずつ分かってきています。 当地でも熱心な愛好家の手によって、地道なマーキングが行なわれています。荒池緑地や相生緑地ではフジバカマが植栽されたため、天気のよい日にはアサギマダラが吸蜜に訪れています。気候にもよりますが10月いっぱいは続くものと思われます。 皆さんも一度、機会を作ってマーキング調査に参加してみませんか。紙ひこうきが飛んでいるかのように緩やかに舞う、たくさんのアサギマダラが見られるかも知れません。子供達もきっと感動することと思います。 僅か十数グラムの蝶がどうして千キロも2千キロにも及ぶ渡りができるのでしょう。気流に乗ったとしても方角や目的地をどう判断しているのでしょう。又、名古屋あたりでは十分に越冬できるのに、なぜ危険を冒してまで渡りをしなければいけないのでしょう。考えれば考えるほど不思議でなりません。 確かに移動経路を見ていると、暑くても寒くても気に入らないようで、いつも適温の25度ぐらい(日中)の地域を求めて、移動しているようです。 |
翅を休めるアサギマダ |
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吸蜜するアサギマダラ |
吸蜜するアサギマダラ
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緩やかに滑空するアサギマダラ |
マーキングされた個体 |
アサギマダラ ♂
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アサギマダラ ♀ |
オオカバマダラ オオカバマダラは世界中のほとんどの地域で見られることで(日本にはいません)知られていますが、渡りの蝶としても最も有名な蝶です。 多くの渡りのコースがあますが、その中で、暖かいメキシコで越冬するために、カナダ方面からアメリカを縦断するコースが有名で、その距離なんと約3800キロ以上にも及びます。 さらに驚くことに、日本のアサギマダラは世代を繰り返しながら北上するのに対し、この蝶は越冬後、同じ蝶がまた北上を始めるものまでいるというのです。ひたすら移動するために生まれてきたような蝶ですが、なぞの部分も多く、神秘に包まれた蝶であることは確かです。 |
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アメリカの「国蝶」になっているオオカバマダラ |
オオカバマダラ(裏面) |
毎年北上を繰り返す蝶 北上する蝶としてよく知られているのが、イチモンジセセリやウラナミシジミなどです。名古屋あたりでも夏ごろまでほとんど見かけないのですが、その後急速に数を増し、晩秋まで普通に見られる蝶です。これらの蝶は、南方より世代を繰り返しながら北上を続け、時には北海道まで到達してしまいます。関東以北では寒さで越冬(冬を生き延びること)できず、すべて死に絶えてしまいます。そしてまた、翌年南方より世代を繰り返し北上するということを、毎年繰り返しているのです。 その他ヒメアカタテハ、ウスイロコノマチョウなども大きな移動を繰り返しています。 |
ウラナミシジミ |
イチモンジセセリ |